低レバレッジにすればFXでも現物取引と同等のものができる?
日本国内でのFX取引では、25倍までのレバレッジをかけて取引を行うことができます。
レバレッジを利用して資金の金額以上の取引を行えることはFXの最大の魅力の一つです。
少額で取引を始められることから、FXを始めたと言う人も多いのでは無いでしょうか?
しかしFXの取引ではレバレッジを抑えて現物取引のような間隔で取引を行うことも可能となっています。
ここではレバレッジ取引の魅力に目が向きがちなFXでの低レバレッジの取引についてのリスクや安全性、メリットやデメリットについてご紹介します。
また↓はウィキペディアでのレバレッジ解説です。
レバレッジ:Wikipedia
自己資本をもって経済活動をする際に利益率を高めたい(正確には変動性:ボラティリティを高めたい)場合、他人資本を用いることで可能となる。
目次
現物取引に近い、FXの低レバレッジの取引とは
FXと言うと少額から取引を行えると言う点が前面に押し出されており、大きなレバレッジをかけて取引を行うものと考えてしまいがちです。
しかし、レバレッジを抑えて現物取引のような取引を行うこともできるようになっています。
一般的なFXのイメージから少し離れることにはなりますが、ここでは低レバレッジの取引がいったいどのようなものかを紹介していきます。
現物取引とは
現物取引とはそのときの市場に価格で、売買を行う取引のことです。
投資の世界では持っている資金の範囲内で株式の売買を行う取引などが現物取引にあたることになります。
FXの取引に当てはめるとレバレッジをかけずに資金と同額の取引を行えば現物取引に近い状態と言えるでしょう。
FXの取引でレバレッジをかけている場合では、自分が用意している資金以上の取引を行うことができます。
たとえば1ドル100円のときにレバレッジ25倍で1万通貨分の取引を行ったとすると、
100円×1万通貨÷25=4万円
となるので、4万円の証拠金で100万円分の取引を行っているということになります。
通常4万円の証拠金では4万円分の取引しかできないところをレバレッジを利用することで証拠金の金額以上の取引を行うことができていることになります。
25倍のレバレッジをかけることで証拠金の25倍までの取引を行うことが可能となっているのです。
ではレバレッジをかけないで取引を行う場合を考えて見ましょう。
1ドル100円のときにレバレッジをかけずに1万通貨の取引を行ったとすると
100円×1万通貨=100万円
となり、1万通の取引行うために100万円の証拠金を用意することになります。
この場合では100万円の証拠金で100万円分の取引を行うことになるので資金と同額の取引を行っていることとなり、実際に買った通貨が手元に届くわけではありませんが現物の取引に限りなく近い状態で取引を行うことになります。
このようにFXの取引でもレバレッジを抑えて取引を行うことで現物取引のような取引を行うことも可能となっているのです。
FXの低レバレッジ運用のメリットとは
FXでレバレッジを低く抑えて現物取引に近い取引を行うことによるメリットはあるのでしょうか?
レバレッジを抑えて取引を行う場合、為替変動が資金に与える影響が少なくなり万が一、損失が出てしまった場合に損失を少なく抑えられるということが挙げられます。
FXの取引を行っていた場合、相場の値動きが思惑と外れてしまえば損失が発生することになります。
その際に大きなレバレッジをかけていればいるほど大きな含み損を抱えることになり証拠金に与える影響もレバレッジに比例して大きなものとなります。
特に強制ロスカットとなるほどの値動きが起こってしまえば資金のほとんどを失う結果となってしまう可能性もあります。
しかしレバレッジを低く抑えて取引を行っていれば相場の値動きが資金に与える影響が少なくなった分、大きな損失が発生する可能性も少なくなるのです。
また低レバレッジなら含み損を抱えているとしても、ある程度の相場の変動ならばロスカットや強制決済されずスワップポイントを受け取り続けることができる為レバレッジを低くし長期保有することにより貯蓄として活用する方法も注目されております。
FXの損益は為替変動の値幅にも左右されるので変動幅によっては損失が拡大してしまう場合もありますがレバレッジを抑えれば抑えるほど大きな損失が発生する可能性は低くなることになります。
低レバレッジ運用のデメリットとは
次は低レバレッジの取引でのデメリットについて考えてみましょう。
FX取引の最大の特徴はレバレッジを利用することによる資金効率の良さです。
レバレッジを利用しないで取引を行えばFX取引最大の特徴を利用しないということになり、資金効率が大幅に低下することになってしまいます。
資金効率が低下するということは、その分だけ大きな資金を用意する必要が出てきてしまうということです。
FXで1ドル100円のときに1万ドルの取引を行いたいとすると、
レバレッジ25倍の場合では、約4万円
レバレッジ10倍の場合では、約10万円
レバレッジ5倍の場合では、約25万円
レバレッジを利用しなければ約100万円
の証拠金を用意することになります。
1万通貨の取引でドル円が一円動いた場合の損益は1万円です。
どの場合でも発生する損益に違いはありませんが同じ1万通貨の取引を行ったとしても用意する必要がある資金に大きな違いが生じてしまいます。
FXではレバレッジを上げれば上げるほど取引できる通貨の量が増えるので、
レバレッジを大きくすればするほど、同じ資金で大きな利益を狙うことができることになります。
レバレッジをかけたほうが変動幅に対する損益が大きくなるので、短時間のうちに少ない資金で利益を狙うことができるようになるのです。
レバレッジを低く抑えてしまうとその分狙える利幅も小さな物となってしまうので注意しましょう。
低レバレッジの取引にリスクはあるか
レバレッジを抑えた低レバレッジの取引では、通常のFX取引のように大きなレバレッジをかけての取引は行わないことになります。
レバレッジを抑えた取引を行うことによって大きなレバレッジをかけた取引のように少額の資金で大きな取引を行えるといったFX最大のメリットを利用する事ができないことになってしまうのです。
FXメリットを捨てて行うことになる低レバレッジの取引では、大きなレバレッジをかけた取引と比べるとリスクにどの程度の違いが生じることになるのでしょうか?
低レバレッジでもリスクが変わらない場合も
「レバレッジが高ければ取引のリスクが高くなってしまい、レバレッジが低く抑えれば取引のリスクが低くなる」
と考えている方が多いと思いますが、レバレッジだけで取引のリスクを完全に判断することは出来ません。
確かにレバレッジを大きくして取引を行えば用意してある資金に対して発生する損益の割合が大きくなるのでリスクが高くなっているように感じてしまいますが、レバレッジの高低に関わらず同じ量の通貨の取引を行えば同じ金額の損益が発生することになります。
損益の金額として考えた場合、低レバレッジで取引を行ったとしても為替変動による影響は全く変化しないと言うことになります。
強制ロスカットを考えなければレバレッジではなく通貨の取引量がリスクに大きな影響を与えることになるので、リスクを考える場合レバレッジだけでなく自分が取引している通貨の量にも目を向けるようにしましょう。
強制ロスカットのリスクに大きな違いが
低レバレッジで取引を行う場合、大きなレバレッジをかけた場合と比べて強制ロスカットが行われるタイミングが大きく異なることになります。
1ドル100円のときに1万通貨の買いポジションを持っていたとすると必要証拠金は約4万円となります。
レバレッジ25倍の場合では証拠金維持率が50%だったとしてもレバレッジ25倍ので取引を行うと証拠金は4万円となり、二万円の含み損が出てしまった時点で強制ロスカットとなってしまいます。
つまり為替レートが1ドル100円から98円になった段階でロスカットされてしまうことになります。
対してレバレッジをかけずに取引を行っていた場合で考えると、レバレッジをかけない場合の証拠金は100万円となります。
必要証拠金の50%は2万円なので98万円の含み損が出るまで強制ロスカットが行われないことになります。
1ドルが2円になるまで強制ロスカットが行われる事はないので、現在の相場の値動きを考えると可能性はゼロ近いと考えても問題は無いでしょう。
このようにロスカットのタイミングは証拠金の金額によって大きく変わることになるので
証拠金が多く必要になる低レバレッジの取引では強制ロスカットのリスクは非常に低くなると考えてもいいでしょう。
必要証拠金の違い
低レバレッジとハイレバレッジで取引を行った場合、レバレッジによって必要となる証拠金に違いが出ることになります。
同じ証拠金で取引を行うならレバレッジを高くしたほうが取引できる通貨の量が多くなることになります。
逆に低レバレッジの取引では現物取引に近づくことになりレバレッジを下げるほど必要な証拠金の金額が増えることになります。
この取引できる通貨量の違いは損益の金額にも大きな影響を与えレバレッジを上げれば上げるほど少ない値動きで大きな損益が発生することになるので短期間でも大きな利益を狙えるようになるのです。
反面、損失の金額も大きな物となってしまうのでレバレッジを上げれば上げるほど資金に対して損益の割合が大きな物になることになります。
資金に対する損益の割合として考えた場合、ハイレバレッジの取引はハイリスク・ハイリターンなものになるので取引のリスクを考える場合はレバレッジだけでなく自分の用意した資金の金額や強制ロスカットのライン、予想される損益の金額等を考慮して判断するようにしましょう。
FXの低レバレッジで現物取引、のまとめ
低レバレッジの取引では、ハイレバレッジの取引のように用意した資金に対して大きな量の通貨の取引を行うことが出来ません。
資金に対して発生する損益はレバレッジの大小によって左右されることになるので用意した資金、取引する通貨の量、強制ロスカットになってしまうラインやどのくらいの損益が発生する可能性があるのか考慮したうえで、どの程度のレバレッジをかけて取引を行うのかを判断するようにしましょう。
証拠金がギリギリの状態で取引を行っているとすぐに強制ロスカットとなってしまい、値動きの予想が当たっていたとしてもうまく取引を進められない可能性もあります。
ポジションが強制ロスカットになるようではFXで安定した利益を狙うことは難しいので、取引する通貨の量や通貨ペアを決めるときは自分が予想した値動きの範囲内で強制ロスカットにならないようにレバレッジをコントロールして取引を行うようにしましょう。
特に英ポンドなど変動が日常的に大きい通貨を取り扱う時はレバレッジ管理が非常に重要です。