含み損とは?FX取引時の対処法や考え方をわかりやすく教えます
FXで取引を行っていると避けることができないのが「含み損」の存在です。
どんなにうまく為替レートの変動を予想したとしても、100%予想を的中させることは非常に困難です。
値動きの予想が外れてしまい、自分の思惑と逆方向にレートが変動してしまえば含み損を抱えることになってしまいます。
そのままポジションを放置してしまうと、どんどん含み損が膨らんでしまい強制ロスカットされてしまうといった最悪の結果になってしまう場合も考えられます。
ここでは含み損とはいったいどういったものなのか含み損を抱えてしまったときに何ができるのかなど、FXの含み損についてご紹介します。
また↓は日本証券業協会での含み損解説です。
含み損とは:日本証券業協会
目次
FXの含み損と含み益
FXではポジションを持っている間にも常に為替レートが変動しています。
そのため、実際に決済しないとしても仮に今、ポジションを決済して取引を終えたらどのくらいの利益や損失が発生するのかを予想できることになります。
この取引中に予想することができる見込みの損失や利益のことを相場の世界では「含み損」や「含み益」と呼んでいます。
たとえば、ポジションを保有しているときに自分が予想した方向と逆方向に為替レートが進行してしまいいま決済したら損失が出て資金が減ってしまうといった場合は含み損が発生しています。
逆にポジションを保有しているときに自分が予想した通りの方向に為替レートが進行していき、いま決済したら利益が出て資金が増えるといった場合は含み益が発生していることになります。
あくまでポジションを保有しているときの呼び方なのでポジションと決済して損失や利益を確定してしまった後は含み損や含み益と呼ばれることはありません。
実際に口座に預けていた資金に損失や利益が反映され、損失や利益が確定した状態になるからです。
含み損や含み益の計算
含み損や含み益はいったいどのように考えるのか実際に計算して確認してみましょう。
1ドル100円のときに取引を始める場合で考えてみましょう。
1ドル100円でドルを買ったとすると、その後1ドルが100円から99円に下がってしまえば99-100=-1となり、1ドル辺りに1円の含み損が発生していることになります。
1ドル辺り1円なので1000ドル(1000通貨)ポジションなら1000円1万ドル(1万通貨)ポジションなら1万円の含み損が発生していることになりますね。
この状態で決済注文を行うと取引量に応じた損失が発生してしまいます。
逆に1ドルが100円から101円に上がったとすると101-100=1となるので1ドル辺りに1円の含み益が発生していることになります。
こちらも1ドル辺り1円なので1000ドル(1000通貨)ポジションなら1000円1万ドル(1万通貨)ポジションなら1万円の含み益が発生していることになります。
この状態で利益を確定すれば、取引量に応じた利益を確定できることとなります。
含み損の計算はポジションを持った為替レートから現在までに、どのくらいの為替変動が起こったのか自分がその為替レートでどのくらいの通貨量でポジションを持ったのかが分かれば簡単に計算することができます。
細かな計算は取引ツールが自動で行ってくれますが、自分の保有しているポジションで見込みの損益である含み損や含み益がどの程度発生しているのかはしっかりと把握できるようにしておきましょう。
含み損が増えると取引が続けられないことも
FXで取引を行っているときに含み損が発生したポジションをそのまま保有していると含み損がどんどん膨らんで行ってしまう可能性があります。
含み損が増え続けた場合、決済時に予想される損失は取引している通貨の量に比例して増えていってしまうことになります。
ドル円で1万通貨の取引を行っていたとすると5円の値動きが起こってしまえば1ドル100円でレバレッジ25倍で取引を行っていた場合、必要となる証拠金は4万円なので入金していた金額によっては口座の残高を超えてしまうことになってしまいますね。
FXではこのように口座の残高以上のマイナスが発生してしまうことを防ぐために一定以上の含み損が発生した場合取引を強制的に終了してしまう「強制ロスカット」と呼ばれる仕組みが採用されています。
ポジションを持ち続けていたくても含み損が拡大してしまえばポジションを持ち続けられなくなる可能性があるということです。
強制ロスカットになってしまえば資金の大部分を失ってしまうことも珍しくなく、急激な為替変動が起こっている状況では口座の資金がマイナスになってしまう可能性もゼロではありません。
強制ロスカットになってしまわないために、自分の保有しているポジションについて強制ロスカットになってしまうラインをしっかりと把握しておきましょう。

強制ロスカットの計算
FXで強制ロスカットになってしまうかどうかといった判定は、保有しているポジションに対して含み損や含み益を考慮したうえでどのくらいの証拠金が残っているのかといった割合、証拠金維持率によって判定されています。
強制ロスカットになってしまう証拠金の割合は、取引しているFX会社ごとに異なりますがここでは多くのFX会社で強制ロスカットのラインとなっている証拠金維持率100%と50%で考えて見ましょう。
ポジションを持つために必要な証拠金は1ドル100円の場合レバレッジ25倍で1万通貨の取引を行ったとすると100円×1万通貨÷25=4万円となります。
10万円を口座に預けて取引を始めたとすれば証拠金維持率が100%なら最低でも4万円の証拠金が必要となるので6万円の含み損が出た時点で強制ロスカット、証拠金維持率が50%なら2万円の証拠金が必要となるので8万円の含み損が出た時点で強制ロスカットとなってしまうことになります。
この例では損失を許容できずに、闇雲にポジションを持ち続けてしまいひとたび強制ロスカットとなってしまえば証拠金維持率50%の場合は資金の80%を証拠金維持率100%の場合でも資金の60%を失う結果となってしまいます。
これほど大きな割合の損失が発生してしまえば取引の継続自体が難しくなってしまいます。
一時的に利益が出るようなことがあったとしても強制ロスカットになってしまう可能性があるような取引を行っていては、いずれ資金の多くを失う結果になってしまうので、強制ロスカットにならないようにリスクをコントロールする必要があるでしょう。
含み損への対処法
FXで取引を行う以上含み損を0に抑えると言うことはできないといっていいでしょう。
なぜなら為替レートは常に上昇と下降を繰り返しながら進行しており、大きな上昇や下降が起きる場合であっても一方方向だけに為替レートが動くことは非常に稀で一時的な上昇や下降を含んでいることがほとんどだからです。
最終的に利益を確定できた取引だとしても、取引を始めたばかりの時には含み損と含み益を行ったり来たりしながら最終的な含み損や含み益へと向かっていくことになるのです。
では避けられない含み損に対して、なにかできることは無いのでしょうか?
含み損を必要以上に拡大させない
FXを行ううえで避けることができない含み損ですが、最も良く行われている対処法として含み損が拡大しすぎる前に取引を終了できるように予め注文を設定しておくと言うものがあります。
取引を始めるときに自分がどの程度までの損失を許容できるのかと言うことをしっかりと考えてから取引を始めることにより、値動きの予想が外れたときに取引を終えるポイントを決めておくことになります。
このような注文は、損切り注文と呼ばれておりリスクをコントロールして強制ロスカットを避けるために必ず必要となります。
含み損も最初のうちはたいした事はありませんが金額が大きくなってしまうと冷静な判断を行うことができなくなってしまい、損切りのタイミングを見失って強制ロスカットなんて事になってしまいかねません。
損切りの設定は取引中ではなく、必ず取引前や取引を開始するときに決めておくようにしましょう。
取引中の損切りは非常に困難
ポジションを持っている場合、時間があれば自分のポジションの含み損や含み益を確認してしまう物です。
決済のタイミングを計るためにも、定期的なチャートのチェックは必須といってもいいでしょう。
しかし含み益が出ている場合は、何処で利益を確定しようかと考えるだけなのですが含み損が発生してしまっている場合では、かなり話しが変わってきてしまいます。
ひとたび含み損が発生してしまうと、このまま下がり続けるのではと言う不安とそろそろ上がるだろうといった期待、二つの感情がせめぎあうことになってしまい冷静な判断で損切りを行うことが非常に難しくなってしまうのです。
さらに利益や損失が発生したときの心理状態を分析したプロスペクト理論では人は損失を抱えてしまった場合、損失を減らそうとするよりも一気に損失を解消しようと考えてしまうと言う結果が出ています。
この考え方をFXの取引に当てはめると、含み損を抱えると損切りを行うことができずに、レートが元に戻って一気に含み損を解消することを期待してポジションを持ち続けてしまう。と言うことになってしまいます。
こんな取引を繰り返していては何度かうまく含み損を解消できたとしてもいずれ強制ロスカットとなってしまい、資金の大半を失う結果となってしまいますよね。
取引中に臨機応変に判断するといえば聞こえはいいのですが、ひとたび含み損を抱えてしまえば冷静な判断が難しくなり、強制ロスカットになりやすい取引を行うようになってしまいます。
強制ロスカットを絶対に避けるためにも損切りの注文は事前に決めておくようにして、取引中にむやみに損切りのポイントを深く変更するのはやめておいた方がいいでしょう。

含み損まとめ
FXで取引を行う以上含み損の発生を避けて通ることはできません。
しかし、含み損が発生したポジションをそのまま持ち続けるような取引を続けていればいずれ強制ロスカットとなってしまい資金の多くを失う結果になってしまいます。
取引中に損切りの判断を行うのは人間の心理によって難しい物となっているので損切りの設定は取引前に決めておき、強制ロスカットとならない取引を心がけましょう。