英ポンドとは?円やドルとの組み合わせの特徴とギャンブルにしないための注意事項
FXの取引では様々な種類の通貨の売買を行うことができますが、値動きが激しいことで有名なのがイギリスのポンドです。
FXでは「英ポンド」と表記されるか、そのままポンドでも英ポンドのことを指します。
初心者に勧められることは少ないのですが、英ポンド円や英ポンドドルと言った通貨ペアはその値動きの激しさから日本のトレーダーには非常に人気の通貨があります。
しかし値動きが激しいからといって、ただそれだけの理由で取引を行うのではFXがギャンブルとなってしまいます。
FXの取引はギャンブルではありません。
英ポンドとなると値動きの激しさだけにとらわれてしまいがちですが、ユーロや米ドルなどその他の通貨と同じように様々な要因の影響を受けながら為替の値動きが起こっています。
ここでは激しい値動きから日本で人気の通貨、イギリスのポンドについて取引のポイントや注意点などをご紹介します。
また↓はウィキペディアでの英ポンド解説です。
ポンド:Wikipedia
ポンドという名称は質量の単位にもあるが、通貨のポンドは、かつて1トロイポンドの高純度の銀を通貨の単位として使用していたことに由来する。
目次
値動きが荒くなりやすい英ポンドの特徴。特に円と米ドルとの組み合わせは大人気
イギリスのポンドは短時間のうちに大きな値動きが起こることも珍しくなく、その値動きの荒さから「殺人通貨」や「悪魔の通貨」等と呼ばれることがあり、値動きの幅であるボラティリティーが非常に高くハイリスク、ハイリターンな通貨です。
しかし、ボラティリティーが高く短時間で大きな利益を狙える可能性があることから、特に日本人になじみの深い「円」や「米ドル」との組み合わせは日本でも人気ですが、なぜそんなにも値動きが荒くなってしまうのでしょうか?
なぜ値動きが荒くなってしまうのか?
アメリカのドルが世界的に決済通貨として使われる前まではイギリスのポンドが国際的な決済通貨として使われており、現在でもドルやユーロ、円についで世界で四番目に取引量が多い英ポンドの取引は日本のトレーダーの間でも人気がある通貨です。
しかし、ドルやユーロ、円と比べると通貨の流通量が少ないことが、値動きが荒くなりやすい要因の一つとなっています。
さらに値動きが荒くなりやすいと多くの人が考えたことで荒い値動きを狙った投機的な通貨の売買がさらに増えることとなり、いっそう荒い値動きが起こりやすい状況となっているのです。
英ポンドの値動きが荒いのは元々値動きが荒くなりやすかったところに荒い値動きを狙った売買が集中することで、さらに値動きが荒くなってしまった結果と言えるでしょう。
日本で人気のポンド円
ポンドは日本トレーダーにも非常に人気の通貨ですが、日本人のトレーダーは通貨ペアに円を含んでいるものを選んで取引を行うことが多いので通貨ペアで考えると世界的に取引量の多い英ポンドドルではなく英ポンド円の取引が良く行われています。
しかし、英ポンドドルようなドルストレートの通貨ペアと比べると英ポンド円のようなクロス円の通貨ペアは値動きが大きくなりやすくなっています。
ただでさえ値動きが大きい英ポンドですが、英ポンド円の取引ではいっそう値動きが激しくなってしまう可能があるので注意が必要です。
英ポンド円と英ポンドドルの違いをしっかりと確認して自分が取引を行う通貨ペアを選ぶようにしましょう。
クロス円の通貨ペアとは
世界の決済通貨であるドルを含まない通貨ペア。
たとえば、英ポンド円などの通貨ペアの取引を行う場合、円をドルに交換してからドルを英ポンドに交換する。
といったように、一度間にドルを挟んで通貨の売買が行われています。
一見すると英ポンドと円を直接取引しているように見えますが実際には英ポンドドルとドル円で二段階の取引が行われることになり、当然値動きも二つの通貨ペアの値動きを組み合わせた物となっていまい結果として英ポンドドルとドル円二つの通貨ペアの値動きを組み合わせた値動きが起こることになります。
このような見た目上にドルを含まない通貨ペアはクロス通貨と呼ばれ、ドルを含んだドルストレートの通貨ペアと比べると二段階の取引が行われている分値動きが大きくなってしまうのです。
クロス通貨では二つの通貨ペアが組み合わさっている関係上値動きの複雑になってしまい
予想しにくくなっている上に取引コストも大きくなってしまうので、ただ円が含まれているからといってクロス円の通貨ペアを選ぶというのはやめておいたほうがいいでしょう。
特別な理由が無ければドルストレートの通貨ペアで取引になれておきましょう。
英ポンドの値動きに影響を与えるのは
英ポンドの値動きが荒く、投機の対象になりやすいといっても他の通貨の為替相場と同じように経済の状況や金融政策、政治の情勢などが相場の値動きに大きな影響を与えることになります。
取引を行う前に英ポンドの値動きに影響を与えやすい要因を確認しておきましょう。
金融政策
まず相場に大きな影響を与える可能性があるのは中央銀行の金融政策でしょう。
イギリスの中央銀行にあたるBOE(Bank of England)の金融政策は英ポンドの相場に大きな影響があり、年8回開かれる金融政策委員会の発表は大きな注目を集めています。
政策金利や量的緩和、議事録や声明などが発表され、発表される内容によっては英ポンドの値動きに大きな影響を与えることになります。
発表前後には大きな値動きが起こる可能性があるので、金融政策委員会の発表スケジュールは取引前に必ず確認しておきましょう。
政治情勢
もちろんイギリスの政治情勢も英ポンドの値動きに影響を与える可能性があります。
近年では、EU離脱をかけた国民投票が行われた際に残留確実とみられていた選挙結果が予想を裏切りEU離脱が確実となってしまい英ポンド円が一時20円以上も変動してしまう事態となりました。
大きな選挙などが行われ予想と異なる結果が出てしまった場合、投票日には何が起きてもおかしくない状況が予想され為替相場に非常に大きな影響を与えることになってしまうので注目を集めている選挙のスケジュール等は必ず確認しておきましょう。
原油相場
イギリスには油田が多く存在し、原油価格が景気に影響を与えることがあります。
原油の上昇に合わせて英ポンドが買われるなど原油相場と為替相場が連動する場合があるので、為替レートと合わせて原油の相場もチェックするようにするといいでしょう。
地政学的な影響
イギリスは近隣のアイルランドと貿易などのほかにも経済支援を行うなど地理的・歴史的に深い関係があり、アイルランドとの国際関係やアイルランドの経済情勢などが英ポンドの相場に影響を与える場合があります。
他にもEU離脱に連動したスコットランド独立の動きなど相場に影響を与える要因が考えられるので、イギリス国内や近隣諸国の情勢も注意しておいたほうがいいでしょう。
経済指標
経済指標の発表も
相場に影響を与える可能性があるので重要な物はチェックしておきましょう
GDPや年八回発表されるBOEの金融政策発表のほかにも毎月上旬に発表される四半期インフレレポート。
毎月中旬に発表されるCPIや失業率・失業保険申請件数、小売売上高。
毎月下旬に発表されるCIPS製造業PMIなど定期的に発表される物が存在しています。
FX会社のウェブサイトなどには、指標の発表スケジュールや重要度を一覧にまとめたページが用意されているので取引前に確認しておいたほうが良いでしょう。


英ポンド取引のポイント
英ポンドはボラティリティーが高く、値動きが激しくなりやすい通貨です。
大きな利益を狙える可能性がある反面、損失が拡大してしまうリスクもあるので取引する際のポイントをおさえておきましょう。
初心者向きではない
値動きが荒くなりやすい英ポンドは、そのボラティリティーの高さを考慮して自分の資金に合わせた通貨の取引量やレバレッジをコントロールして取引を行う必要があります。
また投機的な取引の割合も多く他の通貨とは違った値動きの傾向が見られることもあり値動きの予想が立てにくいといった場合が考えられます。
FXを始めたばかりで取引に慣れていない。と言う人は値動きの予想を立てづらい英ポンドではなく他のもっと値動きの緩やかな通貨ペアで取引に慣れるようにしておきましょう。
英ポンド円より英ポンドドル
日本では円を含んだ通貨ペアの取引の人気があり、英ポンドの取引では英ポンド円が最も取引されています。
しかし英ポンド円を始めとしたクロス円の通過ペアは、ドルストレートの通貨ペアに比べると値動きの予想が立てにくくなってしまいます。
世界的にみれば英ポンドドルと比べて英ポンド円の取引量は少なくなっており、取引量の多い通貨ペアのほうが値動きの予想精度が高くなることが多いです。
なので特にこだわりが無い場合は値動きの予想が難しい英ポンド円ではなく値動きの予想が立てやすい英ポンドドルで取引を行うようにしたほうがいいでしょう。
逆に英ポンド円より動きが欲しいなら英ポンド豪ドル
逆に英ポンド円では物足りない!もっとボラリティが欲しい!と言う方は英ポンド豪ドルがおすすめです。
リスクが高くなりますが非常に変動が大きい通貨ペアでスキャルピング寄りのデイトレを得意とする方におすすめです。
変動が大きいため、スキャルピングに近い取引となる事も多いので、英ポンド豪ドル取引をする際はスキャルピングOKのFX会社で取引をした方が良いです。
短期の取引に向いている
FXで英ポンドの取引を行う場合、そのボラティリティーの高さからデイトレードやスキャルピングといった短期間の取引でも十分な利益を狙うことが可能となっています。
値動きが激しい分、損益が発生するスピードも速いため短時間の取引に非常に向いた通貨だと言えるでしょう。
しかしいくら値動きが激しい英ポンドといっても、日本の日中ではロンドンを始めとしたヨーロッパの為替市場では取引が行われておらず英ポンドやユーロなどの取引量が大きく減少してしまっています。
英ポンドの取引を行う場合は、ロンドンの為替市場が開き始める前後16時から17時以降に取引を行うようにしましょう。
夕方から深夜にかけては、ロンドンやニューヨークの為替市場で取引が行われている一日でも最も為替相場が活発になる時間帯でもあります。
英ポンドの取引では仕事が終わった夕方からが、ちょうどチャンスの時間帯となっているます。
FXの取引を行うときは、通貨の取引量が多い時間帯を選んで取引を行うようにするといいでしょう。


必ず損切りを設定しておく
FXで英ポンドの取引を行った場合、値動きが激しくなりやすいためすぐに含み益や含み損が発生することになります。
含み益が発生している場合、問題になることは少ないのですが値動きの予想が外れてしまい含み損が発生してしまった場合、激しい値動きによって一気に含み損が拡大してしまう可能性があります。
大きな損失を抱えてしまうことがないようにポジションを持ったら必ず損切りの注文を設定しておきましょう。
指標を跨いだ取引は控える
ただでさえ値動きが大きい英ポンドの取引ですが、重要な経済指標の発表や大きな選挙など特に激しい値動きが予想されるイベントを跨いで、ポジションを保持しておくのは控えたほうがいいかもしれません。
選挙や発表で予想を裏切る結果が出てしまった場合、非常に激しい値動きが起こってしまい予想以上の損失が発生してしまう可能性もあります。
予め大きな値動きが予想されるタイミングではポジションを整理したり、取引量を通常よりも少なくしておくなど、取引の内容をしっかりとコントロールして急激な為替変動に備えておくと良いでしょう。
英ポンド取引のまとめ
値動きが激しくなりやすい英ポンドの取引は短時間で大きな利益を狙える可能性がある日本でも人気の通貨です。
しかし、一歩間違えると大きな損失を抱えてしまう可能性がある通貨でもあります。
英ポンドの取引を行う場合は、資金や値動きの激しさを考慮したうえで通貨の取引量やレバレッジを設定する必要があるので、他の通貨の取引である程度FXに慣れてから取引を始めたほうがいいでしょう。
英ポンドと言うと値動きの激しさに目を奪われてしまいますが、値動きだけにとらわれて取引を行ってしまうとギャンブル的な売買を行うことになってしまいかねません。
英ポンドが他の通貨より値動きが激しいといってもFXの取引であることに変わりはありません。
しっかりとチャートの分析を行い、値動きに影響を与える可能性がある隻語とをチェックしながら今後の値動きを予想して取引を行うように心がけましょう。